組織の中にある経験を、組織全体の学びに変える対話型研修を実施しました
組織として目標を掲げ、繰り返し伝えていても、それを一人ひとりが「自分の仕事とどう関係するのか」「自分には何ができるのか」まで落とし込むことは簡単ではありません。
今回研修をご一緒した企業でも、「会社として目指していることは伝えているものの、それが社員一人ひとりの具体的な行動につながりにくい」という課題がありました。
一方、組織の中を見渡すと、すでに目標に向けて自分なりに考え、周囲と関わり、試行錯誤しながら行動している社員もいます。
そこで今回、こうした実際の社員の経験をケースとして取り上げ、「なぜその行動を選んだのか」「途中で何がうまくいかなかったのか」「自分だったらどうするか」をメンバー同士で考える対話型研修を実施しました。
目的は、成果を出した人の行動を「正解」として教えることではありません。
一人の社員が、組織目標をどのように自分の仕事に引き寄せ、何を考え、どのように試行錯誤したのかを材料に、参加者自身が「自分なら何ができるか」を考えることを目指しました。
「成果」ではなく、そこに至るまでの思考と試行錯誤を扱う
組織の中でうまくいった事例を共有すると、「この行動はこの人だからできた」と受け取られることがあります。
しかし、重要なのは「誰がやったか」ではなく、何を考え、どのように行動したから、うまくいったのかを振り返ることです。
成功した行動を具体的に振り返ることで、その人だけの経験ではなく、他の人も活用できる知識に変えていくことができます。
そのため今回の研修では、ケース本人の行動を模範解答として紹介するのではなく、まず参加者自身に、「自分だったらどう考えるか」「ほかにどんな行動が考えられるか」を考えてもらいました。
研修の目的も、ケース本人の行動を「正解」とすることではなく、これから自分たちにできることの選択肢を増やすこととしました。
組織目標を「自分なら何ができるか」に置き換える
今回扱ったのは、社員が、組織の目標に対して行動し、結果につなげた事例を題材にしました。
ただし、詳細な成功談を聞くこと自体が目的ではありません。
実際の出来事をケースとして整理し、「そのとき、どのような状況だったのか」「本人は何を考えたのか」「なぜ、その行動を選んだのか」を考える材料にすることで、普段は本人の中にとどまっている経験を、他のメンバーも学べる形に変えていきます。
「自分で考える→他者と話す→本人に聞く」の順番で進める
今回の研修では、ケースを読んだあと、すぐに本人から答えを聞くことはしませんでした。
まず一人ひとりが「自分だったらどうするか」を考え、その後、グループで意見を共有します。
そのうえで最後にケース本人との対談を行い、実際に何を考え、なぜその行動を選んだのかを聞きました。
この順番には理由があります。
最初から本人の考えを聞いてしまうと、その行動が「正しい答え」として捉えられやすくなります。
一方、先に自分自身で考え、他者の異なる考えにも触れておくと、「自分ならこう考える」「同じ状況でも、別の選択肢がある」という状態で本人の話を聞くことができます。
そうすることで、単なる成功事例の共有ではなく、複数の考え方や行動の選択肢を学ぶ機会になります。
研修後には、「自分にできる行動」を考える声がみられました
研修後のアンケートでは、それぞれの立場からできる具体的な行動が挙げられました。
また、「ケーススタディを聞いていると、自分自身の中だけではなく、他事業や顧客、知人との接点から生まれていると感じた」「自分では考えが及ばなかったアイデアを得られた」といった声もありました。
一方で、組織目標を一度理解したからといって、行動が継続するとは限りません。
そのため今回の研修も、一度の研修で組織目標の「自分事化」を完了させるものではなく、社員自身が自分にできる行動を考え続けるための一つの機会として位置づけています。
組織の中にすでにある「経験」を学習資源にする
社内研修というと、外部の知識や理論を学ぶことが中心になりがちです。
しかし、組織の中にはすでに、日々の患者対応、他職種との調整、業務改善、人材育成、チーム運営などを通じて得られた多くの経験があります。
その経験は、本人にとっては「普段やっていること」であり、必ずしも特別な知識として認識されているわけではありません。
だからこそ、その経験を取り上げ、「何をしたのか」「なぜそうしたのか」「その結果、何が起きたのか」を言葉にすることで、初めて他の人も学べる形になります。
例えば、「患者さんへの説明がうまくいった経験」「他職種との調整がうまく進んだ経験」「後輩が自分で考えて動けるようになった経験」「業務改善につながった工夫」など、日々の現場には多くの学びがあります。
外から新しい知識を取り入れるだけでなく、自分たちの組織の中にすでにある知識や経験を見つけ、それを共有できる形にすることも、組織学習の一つの方法です。
一人の経験を、組織全体の学びへ
今回の研修では、会社の目標に向けて実際に動いた社員の経験を題材として、「なぜ、そう考えたのか」「なぜ、その行動を選んだのか」を対話しました。
そして、ケースを通じて他者の行動を知るだけではなく、「自分ならどうするか」「自分の現場でもできることはあるか」を考える時間を設けました。
pharmakeでは、知識やスキルを一方的に伝えるだけではなく、参加者自身や組織の中にすでにある経験を教材化し、対話を通じて次の行動につなげる研修設計を行っています。
一人ひとりが持つ経験を、その人だけの経験で終わらせない。
言語化し、共有し、他者が自分の経験と照らし合わせることで、個人の経験を組織全体の学びへと変えていく。
そうした学習の仕組みづくりを通じて、組織の中で学びが循環する状態を支援していきます。