正解のない問題にどう向き合うか|北海道大学病院 薬剤部で全体研修・ケーススタディ型主任研修を実施しました
2026年10月16日・17日、北海道大学病院 薬剤部にて、全体研修と主任研修を実施しました。
今回の2日間の研修で共通して扱ったのは、職場で起きている出来事を、自分の見方だけで判断せず、相手の背景や状況を確認しながら考えることです。
1日目の全体研修では、同じ言葉や同じ出来事でも、立場や経験によって受け取り方が異なることを取り上げました。「Aさんは手伝わない」という出来事を見て、「Aさんは自分本位だ」と考えたとしても、それは事実そのものではなく、自分の経験や価値観を通した解釈かもしれません。
そこで、「説得する前に聞く」「評価する前に確認する」「指導する前に背景を知る」という考え方をもとに、事実・観察・認識・解釈を分けながら、相手には何が見えているのかを確認することの重要性を考えました。
翌日の主任研修では、この考え方をさらに発展させ、実際に職場で問題が起きたとき、管理職として何を確認し、何を問題として扱い、どう対応するかを、ケーススタディを通して考えました。
なぜ、管理職研修でケーススタディを行うのか
管理職になると、「本人に直接話した方がよいのか」「もう少し状況を見た方がよいのか」「勤務や担当を変えるべきなのか」「どこまで主任が対応するのか」といった、明確な正解のない問題に直面します。
こうした問題に対して、「このケースではこう対応する」と一つの正解を覚えても、別の状況にそのまま使えるとは限りません。そのため今回の主任研修では、個別のケースの答えを覚えるのではなく、似たような場面に遭遇したときに、自分なりに判断できる考え方を持ち帰ることを目的としました。
職場で起こり得るケースを読み、まず一人で「自分が主任だったらどうするか」を考えます。その後、グループで一人ずつ考えを共有し、特に意見が分かれた部分について、「なぜそう考えたのか」「どの情報を根拠に判断したのか」を話し合いました。
他者の判断を聞くことで、自分にはなかった視点が増える
同じケースを他の人が考えると、自分とは異なる情報に注目していたり、違う対応を選んでいたりします。
今回の研修では、最初から自由討議にするのではなく、「個人で考える→一人ずつ共有する→意見が分かれた部分を対話する」という順番で進めました。全員が最初に自分自身の考えを持つことで、他者の意見に流されるのではなく、自分の判断と比較しながら聞くことができます。
参加された先生からも、「考え方や方法を学問に基づいて、同じ職位の方々と学べたのが有意義でした」「思ったよりも、視点が同じだった」との声をいただきました。他者と比較することで、自分とは違う視点を得るだけでなく、これまで自分が行ってきた判断を確認することもできます。
ケーススタディは、これまでの自分の判断を振り返る機会にもなる
参加された先生方からは、
「自分で考えたり、他者の考えを聞いたりするうえで有効だった」
「実際に起こりそうな事例を取り上げていただき、今後の参考にさせていただきます」
「介入の仕方を改めて確認できる講義でした」といった声がありました。
また、「なかなか難しい課題でしたが、これまで経験したトラブルの対応の仕方に大きな間違いはなかったかなとも感じれました。今日学習した判断軸を活かしていきたいと思います」という声もいただきました。
ケーススタディは、新しい知識を得るだけではなく、「自分だったらどうするか」を考えることで、これまで自分が行ってきた対応や判断を振り返る機会にもなります。
全体で共有した考え方を、管理職の「判断力」へ
今回の2日間の研修では、1日目の全体研修で、「人によって見えているものや受け取り方は異なる」「評価する前に確認する」「指導する前に背景を知る」という、職場でのコミュニケーションの土台を共有しました。
そして翌日の主任研修では、その考え方をケーススタディの中で使いながら、「何を確認するのか」「何を問題として扱うのか」「どこに介入するのか」「誰と連携するのか」まで考えました。
管理職が直面する問題には、正解が一つに決まらないものが少なくありません。そのため、個別の事例に対する答えを考えるだけでなく、判断に必要な情報を集め、事実と解釈を分け、他者の視点にも触れながら、自分自身の判断を振り返るプロセスを大切にしています。
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pharmakeでは、知識や理論を一方的にお伝えするだけではなく、実際の現場で起こり得るケースを使い、自分で考え、他者と議論し、判断の根拠を言語化する研修を設計しています。
研修会場で一つのケースに対する答えを出して終わるのではなく、次に似た問題が起きたときに、「まず何を確認しよう」「自分は今、事実を見ているのか、それとも解釈しているのか」「どこに介入すれば、この状況は動くだろう」と、自分自身で考えられる。そうした判断力を身につけることが、ケーススタディを用いる大きな意義だと考えています。