北海道大学病院にて2年目のミドルマネジャー研修を実施
北海道大学病院にて、昨年度に続き2年目の薬剤部ミドルマネジャーを対象とした研修を実施しました。
今年度は、現場での伝達・指導・提案など「伝え方」の実践的なスキルの習得を目的としました。
あわせて、相手に伝わらなかったときに「わかってもらえなかった」と感情で片づけず、
どこで伝え方の構造がずれていたのかを振り返る視点を養うことを重視しました。
研修では、単に「伝える」ではなく「伝わる」コミュニケーションの構造を整理し、相手の価値観や判断軸を踏まえて話を設計する重要性を扱いました。

受講後には、各自が設定した行動コミットメントをもとに現場での実践を行い、約1か月後にアフターフォロー研修を実施。
参加者が日々の業務の中で試みた工夫や気づきを共有し、実践を通して見えてきた変化を振り返りました。
共有された内容からは、研修後の意識・行動変容として主に二つの傾向が見られました。
1.相手の価値観・状態の把握の深化
多くの参加者が、「まず傾聴から始める」「相手の“軸”を理解する」「自分の意見を伝える前に共感する」といった姿勢変化を挙げました。
従来は「どう伝えるか」に意識が集中していたところから、「相手の受け取り方を設計する」方向へとシフトが見られました。
2.伝達の順序・構造への意識向上
上司への提案や部下への指導において、「話す順番を工夫する」「なぜその話をするのかを明確にする」といった構造的アプローチが増えました。
また、「アクティブリスニングを行う」「一方的な指導ではなく、問いかけを交えながら一緒に考える」といった行動も具体的に挙げられました。
アフターフォロー研修では、「アクティブリスニングを実践してみると難しさもあったが、相手が動いてくれるようになった」「相手の反応を見ながら伝え方を変えるようになった」「聞くだけで解決することもあると実感した」といったコメントが寄せられ、日常業務の中で試行と内省のサイクルが少しずつ根づきつつある様子が共有されました。
<北海道大学病院 薬剤部 副部長 熊井先生から頂いたコメント>
「コミュニケーションはこうすれば必ずうまくいく、という正解はないと感じます。どんなに経験を積んでも、相手や状況によって伝わり方は変わり、同じ言葉でも結果が異なることがあります。
だからこそ、うまくいかなかった場面を一度の失敗として終わらせるのではなく、その背景を振り返りながら、自分の伝え方を少しずつ磨いていきコミュニケーションを諦めないことが大切だと考えています。
コミュニケーションは単なる人間関係づくりにとどまらず、日々の業務の生産性や、薬剤師一人ひとりの専門性の発揮にも直結する力です。
今回の研修は、そうした日々の実践の中で“伝える力”を育てていくための一助になればという思いから企画しました。
研修終了後に部員から今回の内容を意識したと感じる発言や考え方を耳にする機会が何度かあり、参加者が自分なりに学びを取り入れてくれたと感じます。部内で共通認識を持つことに繋がったと思いますし、それは組織運営に大きなプラスになるものと期待しています。」
pharmakeでは今後も、研修とアフターフォローを通じて、現場での実践を起点とした学びの継続支援を行ってまいります。