病院薬剤師の質向上と定着を目指し福島県病院薬剤師会と人材マネジメント初開催
2024年11月18日
この度、福島県病院薬剤師会と協同で、地域の医療を支える病院薬剤師の質の向上と長期的な定着を目指し、県内の次世代を担う病院薬剤師を対象に、初めての試みとなる「人材マネジメント研修」を実施しました。
病院薬剤師一人ひとりが自身の成長と向き合い、「服薬指導業務や病棟業務の拡充を進め、患者意識の向上を図るために、どのように同僚や後輩を巻き込み、具体的な行動に結びつけていくか」を考え、明日からすぐに実践できるステップを描くことを目指しました。このような自己成長とやりがいが職場への定着意欲を高め、さらにはキャリア全体を通じて専門性を磨き、職場の安定化にもつながると期待されています。また、一人ひとりの成長が職場全体のスムーズな運営や、チーム力の向上に寄与し、福島県全体の病院薬剤師としての総合的な力の向上につながります。最終的には、県全体の医療の質向上につながると考えられます。
内容としては、アクティブリスニングやタイプに応じた効果的なコミュニケーション法に焦点を当て、実際のシチュエーションで活用できる具体的なケーススタディ(例:服薬指導件数を増やすために後輩を巻き込む、先輩へ効果的な処方提案の方法を提案する)を盛り込みました。また、ロールプレイが苦手な方でも取り組みやすいよう、各ケースにスクリプトを用意し、全員が積極的に参加できる工夫も施しました。
研修中は、リアルタイムでのQ&A投稿ができる形式を採用し、参加者は他の質問に「いいね」を付けることができるなど、活発な意見交換が行われました。「いいね」が多くついた質問にはその場で講師が回答し、回答しきれなかった質問についても後日対応することとし、参加者の関心や意欲の高さが伺えました。
<当日のQAセッションの様子>
開催前のアンケートでは、半数以上の参加者が「後輩を巻き込むことや、先輩に提案することに抵抗がある」と回答していました。しかし、実施後のアンケートでは、参加者の94%が「満足」と回答。その理由として「後輩の指導や業務の任せ方のヒントを得られた」「現状の働き方を改善する具体的な方法が見つかった」といった意見が多く寄せられました。
「後輩や同僚に業務を任せるきっかけになりましたか?」という質問に対しても、「きっかけになった」「きっかけにはなったが、まだ不安がある」という回答がそれぞれ半数ずつを占め、「きっかけにならなかった」と答えた人はおらず、全員が前向きな変化を感じている様子が見られました。
福島県病院薬剤師会は、今後もこうした取り組みを通じて、病院薬剤師の成長と働きがいを支援し、地域医療の充実に寄与していく考えです。また、株式会社pharmakeとしても、福島県病院薬剤師会様の人材育成の一助となれたことを大変嬉しく思っております。
本研修の運営に関わった先生方に、人材マネジメント研修についての感想をインタビュー形式で伺いました。なお、各コメントの回答者のお名前は伏せて掲載しております。
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初の人材マネジメント研修を行ってみていかがでしたか?
学術的な研修とはまた違い、30歳代の受講者が楽しく研修を受けていたようなのでやってみて良かったです。
人材マネジメント、というと管理職以外の薬剤師にとっては取っつきにくい分野だと思っていたのですが、「コミュニケーション能力」、「チームマネジメント能力」という言葉に置き換えると、多くの薬剤師にとって身近なテーマになったと思いました。今回、なんとなく中堅薬剤師を対象に、と考えていましたが「中堅」という定義が意外に難しいことが分かりました。
今回の研修を体験して、「コミュニケーション能力」、「チームマネジメント能力」は、これからの病院薬剤師には最も求められる能力のひとつであると思いました。そのため、薬剤師の経験年数に拘らず今回のような研修を繰り返し受ける必要があると感じましたし、むしろ新人~2・3年目の薬剤師に対してより有効かもしれないと思いました。
高いコミュニケーション能力は様々な仕事上の困難(仕事だけとは限りませんが)に柔軟に対応できるようになるでしょう。
そうなれば、自ずと快適な職場やチームになるでしょうし、パフォーマンスも上がるでしょう。
私としては、積極的にこのような研修を進めていくべきかと思いました。
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株式会社pharmakeに依頼してみていかがでしたか?
人材マネジメント研修を行う会社はたくさんあると思いますが、薬剤師で以前に医療現場も経験されているpharmakeの田口先生で良かったと思います。
中堅薬剤師向けの人材マネジメントの研修、というあいまいな研修目的から数回の打ち合わせの中で、最終的に服薬指導業務やチーム医療を含む病棟業務に役立つコミュニケーション能力、チームマネジメント能力を伸ばすという目的にフォーカスを絞った研修となり、大変助かりました。
実際の研修では、ロールプレイやグループワークに不慣れな参加者でも十分対応できるようにきめ細やかなプログラムが組まれていて、安心できました。研修題材も「病院薬剤師」という背景を踏まえて設定してあり、参加者がより当事者という立場で研修を受けられたと思います。
3時間という長時間にも関わらず、参加者全員が熱気にあふれ活発なグループワークとなっていたので、研修会を企画した甲斐がありました。
また、スマホを使用したアンケートやQ&Aは、参加者にとっても発言しやすかったようで、こういった新たな取り組みも我々だけではできなかったことだと思います。更にアンケート結果の集計などのフィードバックが早く、今後の研修会の企画を計画するのに助かっています。
ありがとうございました。
本研修の運営の先生方
左から、竹田綜合病院 木本先生(当日ご欠席)、株式会社pharmake 田口、会津中央病院 鈴木先生、いわき市医療センター 草野先生、会津医療センター附属病院 樫村先生
病院薬剤師の慢性的な人員不足が続き、確保難は深刻さを増し続けています。病院勤務を希望する薬剤師が減少しているなか、タスクシフトや多職種連携など一人ひとりの病院薬剤師の負担は増す傾向あります。それでも、各病院の医療の質は担保しなければならない。「時間がない」「人手が足りない」中で、薬剤師のパフォーマンスを最大化するためには、現在の組織力を向上させる必要があると思います。
弊社が病院薬剤師の働く場をよりよくするきっかけ創りができれば、とても嬉しく思います。
「病院薬剤師の人材育成・組織運営の向上を図りたい」「病院薬剤師の人事制度の設計を行いたい」など人材育成に関するお困りごとがございましたら、お問い合わせください。
【お問い合わせ】
株式会社pharmake 代表取締役社長 田口恵実
TEL 03-4590-7802 E-mail info@pharmake.co.jp